SaaSやWebサービス提供だけがITなのか

もしもIT業界の下請け構造が崩壊したら - GoTheDistance

ブラックSIer所属ということもあり、ちょっと釣られてみましょう。

書いてあることは概ね同意だけれど、

3点目は、SaaSの形態で解決できるビジネス課題がどれだけあるのか、という問題です。

ポイントはココだと思うのです。

全てをSaaSに置き換えることはできないということの裏返しじゃないかと。

もちろんユーザー企業側も「業務フローに合わせてシステムを作る」から「システムに合わせて業務フローを変える」ことが良いことだ、というような議論があるのである程度はSaaSで業務が事足りる企業が増えるかもしれない。

でもそうすると「業務フローのコモディティ化」が進んで自社の優位性が出せなくなるケースも出てくる。

やっぱり自社の強みとして変わった業務フローだったり経営手法だったりを採用するとなったときに、それに合った業務システムは必要にならないのだろうか?みんながSaaSやサービス開発に流れたら、こういうシステムは誰が作るのだろうか?

確かに業務システムの受託開発が残るかもしれないとは言っても、今のように大手SIerに丸投げとか、人月いくらでひたすら人海戦術でシステムを作るようなシチュエーションは少なくなってくるだろうという意味ではSIerは厳しくなる、という方向性は間違ってないと思うけど。

でもSaaSやWebサービスが「IT」の全てじゃないよね。開発者がみんなそこに流れて「タクシーの運転手」にならなきゃいけないわけでもないよね。

社会インフラシステムとか、組み込みとか、ハードウェア周りとか、SaaSやWebサービスを全面に適用することが難しい分野は必ず残るはず。そういう分野に特化して生き残りを懸けるのも大いに有りだと思う。

組み込みなんかもコストでは海外に押されたり、ケータイやカーナビ開発も一時期に比べればコスト削減圧力が強くなって単に受託するだけでは儲かる仕事では無くなっているけど、Web以外の分野にも目を向けて欲しいかなぁという気はする。

そりゃWeb関係のほうが目新しいし市場や可能性が大きいから自然と目が向くのは仕方ないかもしれないけど、開発者が自分のスキルロードマップで悩んだ時に、WebやSaaSにしか目が行かないのは勿体ないんじゃないのかなぁ。WebサービスもSaaSもそう遠く無いうちに溢れて淘汰が始まるんだろうし。

受託は仕事減ってるしキツいだけで儲からない仕事になっていくのは間違いないけど、今の「Webサービス信仰」的な熱狂もちょっと冷めた目で見てる自分がいるのですよ。

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