オフショアの「学習期間」と国内SIerの「猶予期間」

NEC、中国でシステム開発5000人体制  :日本経済新聞

自分の周りで見聞きする海外オフショアで上手くいっている事例が無いのだけど、どうなんだろう。

国内でも名だたるメーカーはそれぞれ、現地子会社だったり、現地のソフト会社にオフショアとして出すケースが去年辺りから増えてるようだけど、ものすごいトラブルになる。けっきょくそのシワ寄せは私らのような国内受託SIerに来てしまうことが多いのではないかな…。

例えば、

・オフショア先が作っているモジュールが中々出来上がって来ない、こちらのモジュールと結合できる品質で無いので、こちらの進捗が引きずられて遅れてしまう
・オフショア先が炎上しているので、その火消しのための支援要請が来て駆り出される。場合によってはこちらで作り直すことも。

とかは見聞きしたケース。

仕事の内容にもよると思うけれど、国内であっても開発のロケーションが異なるとコミュニケーションロスが増えることは多いのに、海外かつ日本語ネイティブでない相手先に仕事を出すときの出し方とかが良くないのだろうかね。ブリッジSEが割とできる人であったとしても仕様を細かいところまで押さえて、かつ出来上がってきたコードが仕様に沿っているのか品質はどうなのかまでをチェックすることはブリッジSEだけでは手が回らないだろうし…。

それでも、投げるメーカー側は2,3年くらいはトラブルが起きることを織り込んでオフショアしているのかもしれないが、その「学習期間」に投げる側も請ける側もきちんとノウハウを貯めていかないといつまでたっても成功しないと思う。コストカットのためにオフショアしてるのに、オフショアのトラブル対応で国内SIerの要員を使ったりしてたらかえって高くつくだろうし。

まだまだメーカーの仕事のやりかたは、昔から入っている下請け会社のエンジニアと「あうん」の呼吸だったり「暗黙」的なことが通用する距離感で仕事を進めてるところも多いように思うし、それを変えないとオフショアは中々立ち上がらないだろうとは思っている。

ただ、国内の受託系SIerは今のようなメーカーのオフショアが上手くいってない今の期間は「猶予期間」でしかないというのもまた事実なんだろう。もしオフショアが上手く回り始めたら確実に仕事は減る。受託で数千人の社員抱えていると、まとまった規模の案件を取らないと効率が悪くメーカーの下請けに入ってあれこれ仕事を請けるのが今までだったわけでそれがオフショアにごっそり取られると思うと。

国内SIerの社員が海外のオフショア用グループ会社に飛ばされるというケースも今でもあるとは思うけど、増えてくるのかもね。国内で働かせるとコストが高いから海外に飛ばして現地水準の給与にするとか。リストラにも使えそう。

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